2026.07.16
EC事業者のためのP-MAX完全ガイド|基本・設定・6つの改善ポイント
「Google広告のP-MAXを始めたけど、何が正しい設定なのか分からない」
「アセットグループ・検索テーマ・オーディエンスシグナル…設定項目が多すぎる」
「P-MAXに任せているけど、実際に成果が出ているのか不安」
——EC広告を運用していて、P-MAX周りでこんな悩みを抱えていませんか。
P-MAXは、Google広告の主力キャンペーンとして定着した一方で、AIが自動最適化する仕組みゆえに「どこをどう設定すればいいのか」「何を見て判断すればいいのか」が見えづらい広告フォーマットでもあります。2025〜2026年のアップデートで検索テーマ・アセットグループ単位のレポート・新規顧客獲得目標など、運用者が”制御できる幅”は大きく広がりましたが、その分「知らないと使いこなせない機能」も増えています。
本記事では、EC事業者がP-MAXを運用するうえで押さえるべき基礎から、設定手順、成果を伸ばすための5つのポイント、よくある落とし穴までを網羅的に解説します。WEB広告運用代行において、ご紹介を中心に10年以上事業を広げてきたフェルクの実務視点からお届けします。
P-MAX(Performance Max)とは?EC事業者にとっての位置づけ
P-MAX(Performance Max:パフォーマンス最大化キャンペーン)は、Googleが提供する1つのキャンペーンでGoogleの全広告面に横断配信できる自動最適化型のキャンペーンフォーマットです。2021年11月に全アカウントで利用可能になり、現在ではGoogle広告の主力キャンペーンとして位置づけられています。
P-MAXが配信される広告面
P-MAXは以下のGoogle広告の全チャネルに、1つのキャンペーンから配信されます。
- 検索広告:Google検索結果への配信(ショッピング広告枠を含む)
- ディスプレイ広告:Googleディスプレイネットワーク(GDN)への配信
- YouTube広告:YouTubeの動画広告枠・ショート広告枠
- Discover広告:Google Discoverフィード
- Gmail広告:Gmailのプロモーションタブ
- Googleマップ広告:Googleマップの検索結果
従来はチャネルごとにキャンペーンを作成する必要がありましたが、P-MAXでは1つのキャンペーンから全チャネルへ同時配信できるようになりました。予算・入札・ターゲティング・配信面の選択はすべてGoogleのAIが自動最適化します。

出典:Google「Performance Max campaigns launch to all advertisers」
EC事業者にとってのP-MAXの位置づけ
EC事業者にとってP-MAXが重要な理由は、従来のスマートショッピングキャンペーン(SSC)の後継という位置づけにあります。SSCは2022年9月にP-MAXへ完全移行しており、Google Merchant Centerの商品フィードを使ったショッピング広告を運用する場合、P-MAXが実質的な標準となっています。
つまり、EC事業者にとってP-MAXは「使うかどうか」ではなく「どう使いこなすか」を考えるべきフォーマットになっています。
P-MAXの強みと押さえておきたい注意点
P-MAXの強み
- 広告面を横断した最適化:検索・ディスプレイ・YouTube・Discover・Gmail・Mapsをまたいで、成果が出やすい配信面にAIが自動的に予算を配分します。
- 運用工数の削減:チャネルごとのキャンペーン作成・入札調整が不要になり、運用担当者の作業時間を大きく削減できます。
- 機械学習による最適化:AIが配信データを学習し、コンバージョンにつながりやすいユーザーに配信を寄せていきます。
- 商品フィードとの高い親和性:Merchant Centerの商品フィードと連携し、ショッピング広告に近い訴求ができます。
P-MAXの主な注意点
- 想定外の配信先に予算が使われることがある:P-MAXは複数の配信面へ自動配信されるため、特定の配信面だけに予算を集中できません。必要に応じて、プレースメント除外やコンテンツの適合性を設定しましょう。
- アセットが自動生成されることがある:動画などを登録していない場合、Googleが自動生成することがあります。ブランドイメージを保つには、自社で十分なアセットを用意しましょう。
- 想定外のページへ誘導されることがある:最終ページURLの拡張を有効にすると、設定したURL以外のページが遷移先に選ばれる場合があります。誘導したくないページは、URL除外を設定しましょう。
P-MAXの始め方|キャンペーン作成の全体フロー
P-MAXの立ち上げは、大きく以下の4ステップです。それぞれ順に見ていきます。
ステップ1:商品フィード(Merchant Center)の準備
EC事業者のP-MAX運用は、Google Merchant Centerの商品フィードの品質が成果を大きく左右します。フィードが不十分だと、ショッピング広告枠での表示機会が減り、P-MAX全体の成果に影響します。
最低限、以下を確認しておきましょう。
- 商品タイトル:ブランド名+商品名+主要属性(サイズ・カラー等)を含める
- 商品画像:背景が白または透明の高解像度画像を使用する
- 価格・在庫情報:常に最新の状態に保つ(不整合があるとエラーで配信停止に)
- カテゴリ設定:Google商品カテゴリを正しく設定する
- GTIN/MPN:可能な限り正確に設定する
ステップ2:コンバージョン設定の確認
P-MAXは「コンバージョンを最大化する」ように動くため、コンバージョン設定が正しくないと、AIが誤った方向に最適化してしまいます。
ステップ3:アセットグループ・アセットの用意
P-MAXでは、「アセットグループ」という単位で広告素材(アセット)をまとめて管理します。1つのキャンペーン内に複数のアセットグループを作成でき、商品カテゴリやターゲット層ごとに分けるのが一般的です。
主に用意するアセットは以下のとおりです。
- 画像:横向き(1.91:1)・スクエア(1:1)・縦向き(4:5)など
- 動画:横向き(16:9)・スクエア(1:1)・縦向き(9:16)の動画。未設定の場合は、Googleによって自動生成されることがあります
- ロゴ:スクエア(1:1)・横向き(4:1)の2種類
- 広告見出し:全角15文字以内、最大15本
- 長い広告見出し:全角15文字以上45文字以内、最大5本
- 説明文:全角45文字以内、最大5本
- ビジネスの名前:全角12文字以内
- 行動を促すフレーズ:「今すぐ購入」「詳細」など。自動生成またはリストから選択
- 最終ページURL:広告をクリックしたユーザーの遷移先
- 表示URLのパス:全角7文字以内、最大2個
画像や動画を複数の比率で用意することで、各配信面に適した広告を表示しやすくなります。特に動画を登録しない場合は、アセットグループ内の画像やテキストをもとに動画が自動生成される可能性があるため、ブランドイメージを保ちたい場合は独自の動画を用意しましょう。
出典:Google広告ヘルプ「P-MAXキャンペーンの仕様とフォーマットの要件」
ステップ4:オーディエンスシグナル・検索テーマの設定
オーディエンスシグナルは、AIに「こういうユーザーがコンバージョンしやすい」というヒントを与える機能です。過去にサイトを訪問したユーザー、購入者リスト、興味関心カテゴリなどを設定できます。
また、2023年に導入された検索テーマは、EC事業者がP-MAX運用で特に活用すべき機能です。
- ターゲットとしたいユーザーが使う検索語句を、広告主自身が追加できる
- アセットグループごとに最大50個まで設定可能(2025年に25個から拡張)
- 設定した検索語句・関連語句を検索している/過去に検索したユーザーに広告が表示されやすくなる
- キャンペーン開始直後のAI学習を大きくサポートできる
検索テーマは”絞り込み”ではなく”学習の材料”であることに注意してください。設定した語句以外にも配信は広がりますが、AIの学習立ち上がりが早くなります。
EC事業者が押さえるべきP-MAX運用の6つのポイント
P-MAXは”任せっきり”にすると成果が伸び悩みますが、以下の6つのポイントを押さえることで、運用者が意図的にコントロールできる範囲が大きく広がります。
① Merchant Centerの商品フィードを継続的に改善する
EC事業者のP-MAX運用は、Merchant Centerの商品フィード品質がすべての土台です。ステップ1で触れた初期設定を終えたら終わり、ではなく、継続的に見直し・改善を続けることで、P-MAXのパフォーマンスは大きく変わります。
特に、以下の項目は定期的にチェックする必要があります。
- 商品ステータス:「不承認」「警告」の商品はないか。Merchant Centerの診断レポートで確認する。
- 商品タイトル:ブランド名・商品名・主要属性(サイズ・カラー・素材など)が過不足なく入っているか。検索クエリと商品タイトルの一致度がCTRを左右します。
- 商品画像:低解像度・背景ノイズ・テキスト入りは審査で弾かれることがあります。
- 価格・在庫情報:ECサイト側と不整合があると配信停止になります。フィード更新頻度を確認しましょう。
- カスタムラベル:粗利率別・在庫状況別・季節性別など、独自の分類軸を追加して、アセットグループの分け方に活用できます。
② アセットグループを商品カテゴリ・ブランドで分ける
商品数が多いECサイトほど、1つのアセットグループに全商品を詰め込まないことが重要です。全商品を1グループで配信すると、AIが売れ筋商品ばかりに配信を寄せてしまい、他の商品のインプレッションが極端に少なくなります。
基本的な分け方は以下です。
- 商品カテゴリ別(例:メンズ/レディース、季節商品/定番商品)
- ブランド別(複数ブランドを扱うEC)
- 粗利率別(高粗利/低粗利で目標ROASを分ける)
- 売れ筋/新商品/在庫消化など、目的別
アセットグループを分けることで、それぞれのグループに合わせた画像・見出し・検索テーマを設定でき、成果の要因分析もしやすくなります。
③ 検索テーマを活用してAI学習を早める
検索テーマは、EC事業者がP-MAXで最も活用しやすい機能のひとつです。アセットグループごとに最大50個まで設定できるので、以下のような観点で埋めていきます。
- ブランド名+商品カテゴリの組み合わせ
- ユーザーが購入前に検索しそうな課題ワード(例:「乾燥肌 化粧水」)
- 類似商品・競合商品名(明示的な指定は不可なので、あくまでカテゴリ検索の想定として)
- 用途・シーン別の検索語句
同じオーディエンスにリーチする重複テーマ(例:「車」「自動車」)は避け、異なる検索文脈をカバーするテーマを設定するのがコツです。
④ 除外設定を徹底する(指名KW・不適切配信面)
P-MAX運用でもっとも見落とされがちなのが除外設定です。特に以下の2点を押さえておきましょう。
- ブランド名(指名キーワード)の除外:自社ブランド名の検索を検索キャンペーンで拾わせ、P-MAXでは除外することで、新規獲得の実態を正確に把握できます。
- 不適切な配信面の除外:YouTubeの一部チャンネル、成人向けコンテンツ、意図しないカテゴリなど、ブランドイメージにそぐわない配信面を除外します。
※P-MAXでは、YouTubeチャンネルやWebサイトなどのプレースメント除外をキャンペーン単位では設定できず、基本的にアカウント単位で行います。ほかのキャンペーンにも影響するため、コンテンツの適合性設定とあわせて慎重に設定しましょう。
除外設定は「新規獲得の質」を守る最初の一手です。設定しないまま運用すると、指名検索や不適切な配信面での成果が混ざり、本当の改善余地が見えなくなります。
⑤ 新規顧客獲得(NCA)目標を有効化する
Google広告のP-MAXには、「新規顧客の獲得(NCA:New Customer Acquisition)」という目標設定があります。通常の設定では、新規顧客と既存顧客を区別せずにコンバージョンの最大化を目指しますが、NCAを活用することで、新規顧客の獲得を重視した配信が可能になります。
NCAには2つのモードがあります。
| モード | 内容 |
|---|---|
| 新規顧客の価値 | 既存顧客より新規顧客に高い入札を優先。既存にも配信するが新規に寄せる |
| 新規顧客のみ | 新規顧客にのみ広告表示を制限(カスタマーマッチリスト必須) |
規模拡大を目指すEC事業者にとって、NCAは活用を検討したい機能の一つです。Google広告に既存顧客リストを連携し、新規顧客への入札を強化することで、既存顧客からの売上も確保しながら、新規顧客の獲得を促進できます。また、新規顧客と既存顧客を分けて成果を確認できるため、顧客基盤の拡大に向けた効果検証にも活用できます。

なお、広告配信には反映させず、新規顧客とリピーターの成果のみを確認したい場合は、キャンペーン設定から「顧客の獲得」へ進み、「新規顧客に対する入札単価を高く設定」を選択します。
そのうえで、「新規顧客」を1円、「新規顧客(高価値)」を2円に設定します。

これにより、広告配信に影響を与えることなく、Google広告の管理画面で「新規顧客とリピーター」に分類し、それぞれの成果を確認できるようになります。

⑥ 検索語句レポートを見て、検索広告と切り分ける
P-MAXの検索語句レポートを見ると、「コンバージョンにつながっているのに、十分に配信できていない検索語句」が見つかることがあります。これらは、検索広告に切り分けて独立キャンペーンで運用することで、確実に取りに行けます。
実際に、ROAS最大化の設定でP-MAXを運用していたお客様のアカウントで、検索語句レポートを確認したところ、コンバージョンしているのに十分に配信できていない検索語句がいくつも見つかりました。それらを検索広告に切り分けて独立キャンペーンを立て、キーワード登録した上でインプレッションシェアを80%以上まで引き上げたところ、成果が大きく復調した——というケースです。
P-MAX運用でよくある落とし穴
最後に、P-MAXでEC事業者が陥りがちな落とし穴を挙げます。ひとつでも当てはまれば、改善の余地があります。
- Merchant Centerの商品ステータスをチェックしていない
※不承認・警告が出た商品がそのまま配信対象から外れ、機会損失が続いている。 - 1つのアセットグループに全商品を詰め込んでいる
※AIが売れ筋にだけ配信を寄せ、他商品のインプレッションが出ない状態になる。 - コンバージョンの重複計測が起きている
※GTMとGA4の両方でCV計測しており、AIが誤った学習をしている。 - 新規顧客を増やしたいのに、NCA目標を活用していない
※既存顧客への配信に偏り、規模拡大につながらない。 - アセットの評価「低」を放置している
※効いていないクリエイティブを差し替えず、機会損失が続いている。 - 検索テーマを設定していない
※AIの学習立ち上がりが遅れ、成果が安定するまでの期間が長くなる。 - 検索語句レポートを見ていない
※P-MAXが取りこぼしている語句を、検索広告で拾う判断ができない。
これらの落とし穴は、いずれも「気づいて手を動かせば」防げるものです。ただし、7つの項目を継続的にケアし続けるには、それなりの運用リソースと専門知識が必要になります。社内で対応しきれない部分があれば、外部の運用パートナーを活用するのも選択肢のひとつです。外注すべきかどうかの判断軸は、「Web広告は外注すべき?代理店活用の7つのメリットと判断基準」で解説しています。
P-MAXと検索広告|使い分けの考え方
P-MAXは万能ではありません。特にEC事業者の場合、P-MAXと検索広告の「使い分け」を設計することで、成果を大きく伸ばせます。
| キャンペーンタイプ | 役割 | 主な運用対象 |
|---|---|---|
| P-MAX | 横断的な自動最適化・新規獲得 | 商品フィード、幅広い検索・Display・YouTube・Discover配信 |
| 検索広告(ブランド) | 指名検索の確実な取りこぼし防止 | 自社ブランド名・商品名の検索 |
| 検索広告(ノンブランド) | P-MAXの取りこぼしを補完 | P-MAXで十分配信できていないコンバージョン語句 |
基本的な設計は、「P-MAXは幅広く網を張る役割」「検索広告は確実に取りに行く役割」と分けることです。P-MAXから指名キーワードを除外し、検索広告で確実に拾う。P-MAXの検索語句レポートを見て、取りこぼしている語句を検索広告のキャンペーンとして独立させる。この2軸を設計するだけで、Google広告全体の成果は大きく変わります。
弊社が支援しているEC案件でも、P-MAXと検索広告の役割を分けて運用した結果、2026年1〜6月の実績で以下のような成果につながりました。
| 指標 | 変化 |
|---|---|
| 全体売上 | 前年同期比 約1.4倍 |
| 広告経由売上 | 前年同期比 約1.7倍 |
| 全体ROAS | 約490% → 約523% |
| 広告ROAS | 約260% → 約330% |
売上規模を拡大しながら、広告効率も同時に改善できた——つまり、単に「予算を増やす」のではなく、「P-MAXと検索広告の役割を分ける」設計が、規模拡大と効率化の両立を実現しました。
総括|P-MAXは「任せる」ものではなく「使いこなす」もの
P-MAXは、Google広告の主力キャンペーンとして定着しました。しかし、2025〜2026年のアップデートで検索テーマ・アセットグループ単位のレポート・新規顧客獲得目標など、運用者が制御できる機能が大きく増えています。裏を返せば、「知らない機能を使わないまま任せっきりにする」と、成果が伸びないまま予算だけが消化される時代でもあります。
本記事で紹介した6つのポイントを押さえるだけで、P-MAXの運用品質は大きく変わります。特に「商品フィードの継続改善」「アセットグループの分割」「検索テーマの活用」「除外設定」「NCAの有効化」「検索広告との切り分け」——このどれかが抜けている場合、まずはそこから見直してみることをおすすめします。
Google広告・P-MAXの運用改善、フェルクにご相談ください
「P-MAXの設定が本当に合っているのか不安」「検索広告との切り分けを見直したい」「クリエイティブの検証量を増やしたい」——EC広告の実務視点でお応えします。P-MAX運用に伴うバナー制作は、追加費用なし・枚数無制限でご提供しています。構想段階の壁打ちからでも歓迎です(無理な提案はいたしません)。
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