2026.09.05

広告運用代行の手数料相場は20%?内訳と妥当性を運用会社が解説

広告運用代行の手数料相場は20%?内訳と妥当性を運用会社が解説

「広告運用代行の見積もりで手数料20%と言われたが、これは高いのか?」
「そもそも手数料を払って、代理店は何をしてくれるのか?」
——広告運用の外注を検討し始めた事業者の方から、よくいただくご質問です。

結論から言うと、広告運用代行の手数料は「広告費の20%」が業界的な目安です。ただし、この数字だけを見て高い・安いを判断すると、選定を誤りやすくなります。大切なのは、手数料の「中身」——その金額と引き換えに、どんな業務が行われているのかを知ったうえで比較することです。

この記事では、料金体系のタイプと相場、手数料に含まれる業務の内訳、見積もり比較で見落としやすいポイントまでを、広告運用会社の立場から解説します。読み終えるころには、手元の見積もりを「妥当かどうか」自分で評価できるようになるはずです。

※本記事は、広告運用代行の現場の視点から執筆しています。

広告運用代行の手数料相場は「広告費の20%」が目安

広告運用代行の手数料は、月間広告費の20%前後が最も一般的な水準です。たとえば月の広告費が100万円なら、運用手数料は20万円、合計の支払いは120万円ほどになります。

月間広告費 × 20% = 運用手数料の目安

ただし、この「20%」には注意点が2つあります。

注意点① 多くの広告代理店には「最低手数料」がある

多くの広告代理店は「運用手数料20%、ただし最低5万円/月」のような下限を設けています。このため、広告費が小さいほど実質的な手数料率は上がります。広告費の規模別に、料率20%・最低手数料5万円と仮定した場合の実質負担を見てみましょう。

月間広告費手数料(20%・最低5万円)実質手数料率月の支払い総額
10万円5万円(最低手数料が適用)50%15万円
20万円5万円(最低手数料が適用)25%25万円
30万円6万円20%36万円
50万円10万円20%60万円
100万円20万円20%120万円

※数値は一般的な水準を仮定した試算例です。実際の下限額・料率は会社ごとに異なります。

このように、広告費が月20万円以下の場合は、表面上の「20%」と実際の負担率が大きく乖離します。少額から始めたい場合は、下限の有無と金額を必ず確認してください。なぜ下限が存在するのかは、後述する「手数料の中身」を読むと腑に落ちるはずです。

注意点② 「運用手数料20%」は法律や公式の基準ではない

運用手数料20%はあくまで業界の慣習的な水準で、公的なルールがあるわけではありません。15%の会社もあれば、25%や固定料金の会社もあります。だからこそ、率の数字だけで比較するのではなく、その金額で何をしてくれるのかをセットで確認する必要があります。

料金体系は4タイプ|それぞれの向き不向き

広告運用代行の料金体系は、大きく次の4タイプに分かれます。

料金体系相場の目安向いているケース/注意点
料率型
(広告費の◯%)
広告費の20%前後
+最低手数料の設定が多い
最も一般的。広告費の増減に支払いが連動する。広告費が増えると手数料も増えるため、拡大期はコストが読みにくい面も
固定報酬型
(月額固定)
月10万〜50万円程度
(業務範囲による)
支払いを固定したい場合や、少額運用で料率型だと最低手数料に届かない場合に向く。広告費を増やしても手数料が変わらない
成果報酬型
(成果1件あたり)
商材・成果地点により
大きく変動
初期リスクを抑えられる一方、対応可能な商材が限られる。成果の定義(何を1件と数えるか)の確認が必須
工数連動型
(作業量ベース)
会社により幅がある運用の作業量に応じて金額が決まる。業務範囲が明確になりやすい反面、見積もりの妥当性を判断しにくい

どのタイプが正解ということはなく、広告費の規模と、自社がどこまでの支援を求めるかで適した体系は変わります。月広告費が50万円を超えるあたりからは料率型が主流になり、それ以下の規模では固定報酬型や、最低手数料込みの料率型を比較検討するケースが多くなります。

運用手数料20%の「中身」|運用会社は実際に何をしているのか

ここが本記事の本題です。手数料が「高い」と感じられる最大の理由は、その対価として行われている業務が外から見えないことにあります。運用代行の現場で日常的に行われている業務を、週次・月次に分けて棚卸ししてみます。

週次で行っている業務の例

  • 予算の利用ペースの管理と入札調整——月の予算に対して利用ペースが早すぎないか・遅すぎないかを確認し、入札や日予算を調整します。放置すると「月の途中で予算が尽きる」「使い切れず機会損失」が起きます
  • 検索語句の精査と除外設定——実際に広告が表示された検索語句を確認し、成果につながらない語句を除外します。これを怠ると、無関係なクリックに広告費が流れ続けます
  • 広告文・クリエイティブのテスト確認——複数パターンの成果を比較し、負けている案の差し替えを判断します
  • 異常の検知と対応——クリック単価の急騰、広告の審査落ち、配信停止など、「気づくのが1週間遅れると損失が膨らむ」事象への対応です

月次で行っている業務の例

  • レポート作成と数値の考察——数字を並べるだけでなく、「なぜこの結果になったか」「来月何を変えるか」を言語化します
  • 市場・競合の動向チェック——競合の広告出稿状況や検索市場の変化を確認し、訴求内容や配信方針に反映します
  • 改善施策の設計——キーワードや配信面の追加・整理、新しいクリエイティブの企画、LPへの改善提案など
  • 定例・報告のコミュニケーション——広告主側の事業状況(繁忙期、在庫、キャンペーン予定)を運用に反映するすり合わせです

見えないところで発生している業務

  • 媒体アップデートへの対応——Google・Yahoo!・Metaなどの広告媒体は、仕様変更や新機能の追加が頻繁にあります。キャッチアップを怠ると、知らないうちに不利な設定のまま配信が続きます
  • 計測まわりのトラブル対応——コンバージョンタグが動かない、数値がズレるといった調査・修正です
  • アカウント構成の維持管理——キャンペーン構成が散らかると改善の打ち手が効かなくなるため、定期的な整理が必要です

なぜ「最低手数料」があるのか

お気づきかもしれませんが、上に挙げた業務の多くは、広告費が月10万円でも100万円でも、必要な作業量がほとんど変わりません。検索語句の精査もレポート作成も媒体アップデートの対応も、広告費の大小に関係なく発生します。広告費20万円×20%=月4万円では、これらの業務工数をまかなえない——これが、多くの代理店が最低手数料を設けている実務上の理由です。

逆に言えば、この中身が伴っているかどうかが代理店選びの本質です。中身を見極めるための確認項目をまとめたチェックリストをご用意しています。記事の後半でご案内します。

広告代理店タイプ別の手数料と特徴

運用手数料が同じ「20%」でも、依頼先のタイプによって特徴が異なります。

依頼先手数料の傾向特徴
大手代理店15〜20%程度
+最低出稿額が高め
大型予算・複数媒体の統合運用に強い。一方で少額案件は受託対象外か、若手担当になりやすい
中堅・専門代理店20%前後Web広告専業など領域特化型。中小規模の予算帯を主戦場とする会社が多く、予算規模に合った支援を受けやすい。会社による品質差が大きいため見極めが重要
フリーランス10〜20%または
月額固定
費用を抑えやすい。一方で対応範囲・稼働の安定性・引き継ぎリスクは個人の力量に依存する

「安いから」「大手だから」という理由だけで選ぶと、自社の予算規模や求める支援内容と噛み合わないことがあります。依頼先タイプごとの詳しい見極め方は、Web広告代理店の選び方|失敗しない8つの見極めポイントで解説しています。

手数料に「含まれる業務・含まれない業務」

見積もり比較で最も差が出やすいのがここです。「手数料20%」に含まれる業務の範囲は、会社によって想像以上に異なります。

一般に手数料に含まれることが多い業務

  • アカウント・キャンペーンの構築、キーワード・ターゲティング設計
  • 日々の入札・予算調整、検索語句の精査
  • 広告文(テキスト)の作成・改善
  • 月次レポートと定例報告

別料金になりやすい業務

  • バナー・動画などクリエイティブ制作——本数単位の制作費が別途かかるのが一般的です
  • LP(ランディングページ)の制作・改善——広告の成果を大きく左右する要素ですが、手数料の範囲外であることがほとんどです
  • 計測環境の構築——タグ設置、GA4やタグマネージャーの設定などは、初期費用や別メニュー扱いの場合があります
  • 初期費用——アカウント構築費として3万〜10万円程度を設定している会社もあれば、無料の会社もあります
💡 補足
「手数料が安い」と思ったら、広告文の改善やレポートが範囲外で、都度オプション費用がかかる——というケースもあります。見積もりは総額ではなく「含まれる業務の一覧」で比較してください。

見積もり比較で見落としやすい5つのポイント

手数料率と業務範囲を確認したうえで、さらに契約前に見ておきたいのが次の5点です。運用会社側の立場から言うと、ここを確認してくる発注者の方は「分かっている」と感じますし、トラブルの予防にも直結します。

① 契約期間の縛り

最低契約期間(6ヶ月〜1年など)や解約予告(1〜2ヶ月前通知など)の条件は会社によって異なります。成果が出なかった場合に身動きが取れなくなるため、必ず契約前に確認しましょう。

② 広告アカウントの所有権

アカウントが自社名義か、代理店名義かは重要です。代理店名義の場合、解約時にアカウントと運用データ(蓄積された学習・履歴)を引き継げないことがあります。将来の乗り換えやインハウス化を見据えるなら、自社名義での開設・共有を推奨します。

③ レポートの粒度と開示範囲

管理画面の閲覧権限をもらえるか、レポートは結果数値だけでなく「なぜ・次にどうする」まで書かれるか。ここは運用の透明性に直結し、代理店の姿勢が最も表れる部分です。

④ 担当者の体制

営業担当と運用担当は別か、運用担当が何社を兼任しているか、担当変更の頻度はどうか。運用手数料が同じでも、担当者が自社のアカウントの確認・改善に割ける時間は、この体制次第で大きく変わります。

⑤ 手数料以外の費用

初期費用、クリエイティブ制作費、ツール利用料など、手数料の外側にある費用を含めた総額で比較しましょう。

この5点は、実際の商談の場で漏れなく確認するのが意外と難しいものです。確認項目を1枚にまとめたチェックリストをご用意していますので、商談の場でそのままお使いください。

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「高い・安い」で判断しないための費用対効果の考え方

最後に、手数料を評価する軸そのものを整理します。手数料で本当に見るべきは「率の低さ」ではなく、手数料を払った後に利益が残るかです。

単純化した例で考えてみます。運用手数料15%のA社と20%のB社があったとして、広告費100万円での手数料差は月5万円です。しかしB社の運用でコンバージョン単価が10%改善するなら、獲得件数や広告費効率の改善額は手数料差をすぐに上回ります。逆に、運用手数料が安くても運用が放置気味なら、無駄クリックへの垂れ流しで差額以上の広告費が失われます。

つまり手数料の妥当性は、単体では評価できず、「目標CPA(1件あたりにかけられる広告費の上限)に対して、手数料込みの獲得単価が収まっているか」で判断するのが実務的です。目標CPAの立て方はWeb広告の予算の決め方|目標CPAから逆算する方法で詳しく解説しています。

また、そもそも外注すべきか・社内運用(インハウス)にすべきかで迷っている段階の方は、Web広告は外注すべき?代理店活用の7つのメリットと判断基準も参考にしてください。

広告運用代行の手数料に関するよくある質問

手数料の交渉はできますか?

可能な場合もありますが、率を下げる交渉はおすすめしません。前述のとおり運用業務の工数は広告費に関係なく発生するため、手数料を無理に下げると、その分だけ自社にかけられる工数が削られる構造になりがちです。交渉するなら率ではなく、「この手数料でどこまでやってもらえるか」の業務範囲をすり合わせる方が建設的です。

広告費が月10万円程度でも依頼できますか?

依頼自体は可能な会社が多いものの、最低手数料の適用で実質料率は高くなります。この規模では、固定報酬型やフリーランスも含めて比較するか、予算設計の記事を参考に、検証に必要な広告費を確保してから外注する方が成果につながりやすいでしょう。

途中で解約できますか?

契約条件によります。最低契約期間と解約予告のルールを契約前に必ず確認してください。あわせて、解約時にアカウントとデータを引き継げるか(所有権)も確認しておくと、後々のトラブルを避けられます。

広告費は代理店に払うのですか?媒体に直接ですか?

両方の方式があります。代理店が媒体費を立て替えて手数料と合わせて請求する方式と、自社のクレジットカード等で媒体へ直接支払い、代理店には手数料のみを払う方式です。後者は広告費の使途がそのまま管理画面で確認でき、アカウントの所有権も自社に置きやすいため、透明性を重視するなら直接支払い方式が確認しやすい形です。契約前にどちらの方式かを確認しておきましょう。

成果報酬型の方がリスクは少ないのでは?

初期のリスクは抑えられますが、成果の定義や単価設定によっては総額が料率型より高くつくこともあります。また、対応できる商材・成果地点が限られるため、選択肢は狭くなります。「リスクが少ない=有利」とは限らない点に注意してください。

総括|手数料は「率」ではなく「中身」で比較する

  • 広告運用代行の手数料相場は広告費の20%前後。ただし最低手数料により、少額運用では実質料率が上がる
  • 料金体系は料率型・固定報酬型・成果報酬型・工数連動型の4タイプ。規模と求める支援で適否が変わる
  • 手数料の対価は、入札調整・検索語句精査・レポート・媒体対応など広告費の大小に関係なく発生する業務。だから最低手数料が存在する
  • 見積もりは率でなく業務範囲と総額で比較し、契約期間・アカウント所有権・レポート粒度・担当体制も確認する
  • 最終的な判断軸は「手数料込みで目標CPAに収まり、利益が残るか

手数料の数字だけを見比べて選ぶと、「安いが動いてくれない」「高いが範囲が狭い」といったミスマッチが起こります。中身を確認する目を持てば、代理店選びの失敗は大きく減らせます。

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株式会社フェルク 取締役 石崎尊之 この記事を書いた人|石崎 尊之 取締役

株式会社フェルクに新卒入社後、クライアント支援に従事。現在は取締役としてデジタルマーケティング事業を統括し、上流の事業戦略・広告戦略の立案から運用改善、サイト分析、クリエイティブ改善まで幅広く支援している。 事業責任者として培ったマーケティング戦略・組織運営の視点を活かし、クライアントの集客成果と事業成長に貢献。ウェブ広告マネージャー公式テキストの執筆にも参画。実践に基づいた再現性の高いマーケティング支援に取り組んでいる。
保有資格:WACA公認上級ウェブ解析士、薬機法管理者、Google認定資格。

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