2019.05.28
リスティング広告は「自社運用」か「代理店運用」のどちらが良いのか【徹底比較】
年々右肩上がりで伸びているリスティング広告の広告費。
市場の成長に伴い、リスティング広告の出稿を検討されている企業様も増加しております。
リスティング広告を運用する際に、「誰が運用するのか」という判断が必要となります。
「誰が運用するのか」を決定するには、2つの選択肢があります。
①自社運用 :自社で担当者を決めて運用する
②代理店運用:広告代理店に委託し運用してもらう
私は代理店の立場にいる人間ですが、この記事ではポジショントークなしで、
自社運用と代理店運用のどちらが良いのかを考察していきたいと思います。
この記事の目次
自社運用・代理店運用のメリットデメリットのまとめ
まずは一覧でメリット・デメリットを確認します。
メリット | デメリット | |
自社 | ノウハウが社内に蓄積 | 運用スキルがない場合がある |
代理店に支払う運用手数料がかからない | 初期設定・運用管理などの手間がかかる | |
自社のビジネスの理解度が高い | 社内のリソースを確保する必要がある | |
スピード感を持った運用ができる | 運用業務の引き継ぎが難しい | |
低予算でのスタートが可能 | 最新情報が集まりづらい | |
相談先が少ない | ||
代理店 | 初期設定や運用管理を全て任せることができる | 運用手数料がかかる |
同様の実績があればそれを踏まえた運用を行ってもらえる | 社内にノウハウが溜まりづらい | |
LPやサイト改善の相談もできる | 成果が出る保証はない | |
代理店のみに提供される機能を活用できる | 対応に時間がかかる場合がある | |
社内に運用担当者を雇う必要がない | ||
最新の情報を共有してもらえる | ||
他の媒体の提案をもらえる |
ここから各項目について補足していきます。
自社運用のメリット
ノウハウが社内に蓄積される
代理店に依頼する場合でもリスティング広告の基礎は学んでいくことができますが、
実際に運用することでリスティング広告自体のノウハウを体得することができます。
代理店に支払う運用手数料がかからない
代理店は運用手数料を頂いて売上を立てているため、
代理店に依頼する場合は広告費の20%といったように各代理店によって決められた手数料が発生します。
一方で自社で運用を行う場合は手数料がかからないため、
その分を広告費に回すといった判断もできるようになります。
ただ、自社の担当者の賃金も当然発生するため、手数料と賃金の比較は必要となるでしょう。
自社のビジネスをよく理解しているため広告への反映がしやすい
もちろん代理店の運用者も、広告を配信する前にクライアント様のビジネスモデルの理解に努めます。
ただ、やはり直接ビジネスを手がけているクライアント様の方がビジネスへの理解が深いことが多く、
ユーザーや競合の動向の変化にも敏感でしょう。
これらの変化に合わせた広告の運用という意味では代理店よりも自社運用の方が勝る可能性があると言えます。
制作チームとの連携が取りやすい
リスティング広告の運用を通して様々なデータを得ることができます。
例えば、
「コンバージョンが発生した検索語句」や、
「反応の良いクリエイティブ(広告)」などがわかってきます。
これらの情報を自社の制作チームに共有することで、
サイトやバナー画像のブラッシュアップも可能になります。
※代理店の場合でも制作チームとのやりとりを直接実施してもらうような調整を図れば
連携を取ることも可能です。
スピード感を持った運用ができる
自社運用の場合、担当者は自社の広告のみ運用をします。
一方で代理店運用の場合は、担当者が複数のクライアントを担当しているケースが多いです。
そのため、「今からすぐに広告文を変えて欲しい」といった依頼が毎回できる訳ではありません。
また、代理店運用の場合、
自社で広告文の確認が必要な際の「確認フロー」が入ることにより
さらに時間がかかるケースもあります。
※広告の入稿作業やデータ集計など、
代理店の方が早い作業もあるため作業量や内容に応じた判断も必要です。
低予算でのスタートが可能
一般的な代理店の場合、
月額数千円の広告予算のご依頼をいただいた際に、
手数料が少ないために受けることができないケースも多いです。
自社であれば試しに3,000円だけ配信してみるといった低予算での検証も可能となります。
自社運用のデメリット
運用スキルがない場合がある
リスティング広告は様々な機能があるがゆえに、機能への理解が必要な広告となります。
例えば「登録キーワード」一つとっても、
・予算10万円の場合どのようなキーワードを設定すべきか
・マッチタイプは何が最適か
・入札単価はいくらぐらいが適正なのか
など、様々な判断が必要となります。
自社にある程度の理解がある人がいれば良いですが、
誰も全くわからないという場合は代理店に依頼した方がうまくいくケースが多いです。
初期設定、運用管理などの手間がかかる
リスティング広告の開始までには以下のような必要な作業があります。
・アカウントの作成
・コンバージョンタグ、リターゲティングタグの設定
・アカウント構成案の作成
・キーワード選定、広告文の作成
・予算設定
・リマーケティングの設定
・Googleアナリティクスの設定 など
もちろんスタートしてからも、
・日々の予算管理
・運用状況の確認
・状況に応じた施策の立案
・審査状況の確認
など、必要な業務は多岐に渡ります。
運用型広告と呼ばれる所以として、
配信開始したからOKという考えではなく、
運用開始後にPDCAを回して、成果を最大化させることがもっとも重要です。
ざっくりとした時間の目安としては、
・初期の準備に1週間~1ヶ月
・日々、最低30分
これくらいは見ておいた方が良いと思います。
社内のリソースを確保する必要がある
上述した様々な作業を行うには、ある程度のリソースが必要です。
リスティング広告の経験者が社内にいれば心強いですが、初めて取り組む担当者の場合、
学びながらの設定となるため、普段の業務と平行すると担当者の負担も大きくなってしまいます。
運用業務の引き継ぎが難しい
うまく社内で一からリスティング広告の運用者が育ったとしても、新たな課題が生まれます。
それは、「その担当者が会社を辞めてしまった場合に誰が後任となるか」という問題です。
リスティング広告の市場は年々伸びており、
多くの会社がリスティング広告の運用者の採用を望んでいます。
その流れの中で社内の担当者が転職してしまうリスクは一定度あります。
代理店に依頼している場合は、
仮に担当者が辞めてしまっても他に育っているスタッフもおりスムーズな引き継ぎができますが、
自社運用の場合はまた一から担当者を育てる必要があります。
最新情報が集まりづらい
リスティング広告の機能は日々アップデートされます。
代理店では最新情報を常に追いかけており、
新しい良い機能が入った場合にすぐに検証する姿勢を持っています。
また、YahooやGoogleといった媒体社からの情報についても、
代理店のみにしか入ってこない情報もあります。
さらには、リスティング広告の情報のみに留まらず、
代理店でウェブ広告の運用を専属で行なっている人間の場合、
SEO・アフィリエイト・ウェブサイト・Googleアナリティクスといった
リスティング広告以外の情報も取り入れているケースが多いです。
本業の傍でリスティング広告の運用をしながら、
ウェブ関連の最新情報をキャッチアップすることはかなりの努力が必要となるため、
最新情報を取り入れたいという方は代理店にお願いする方が良いでしょう。
うまくいかなかった時の相談先が少ない
自社運用でうまく成果が出た場合は素直に喜べるでしょう。
ただ、やはり最初からうまくいくケースは少ないです。
そのような時に、
「なぜうまくいかないのか?」
「コンバージョン率が低い要因は?」
「先月よりクリック単価が上がっている要因は?」
といったように悪い要素の要因を探る必要があります。
代理店運用の場合には、
これらの質問を投げることで回答を得ることができますが、
自社運用の場合は自分で答えをだす必要があります。
YahooやGoogleといった媒体社にも無料の運用サポートは用意されていますが、
汎用的なアドバイスが多いのも事実でして、
あなたの広告運用の独自の問題点などはわからないケースも多いです。
代理店運用のメリット
続いて代理店運用のメリットを見ていきます。
これは自社運用のデメリットの裏返しの内容でもあります。
初期設定や運用管理を全て任せることができる
複雑な機能の設定や、日々の運用管理を全て任せることができるため、
広告主は自分のビジネスに集中することができます。
同様の実績があればそれを踏まえた運用を行ってもらえる
代理店では同様のビジネスモデルの運用を行なった経験があるケースも多いです。
その場合に、
「どのようなキーワードの成果が出るだろう」
「この配信方法なら取れる可能性が高い」
といったように、配信する前からある程度の勝ち筋が見えているケースもあります。
自社で一から運用を行い、全てを0から検証していくケースとは大きな違いとなります。
LPやサイト改善の相談もできる
代理店にもよりますが、
広告のリンク先のページや入力フォームの改善といった、
サイト改善の提案ももらえるケースもあります。
ウェブに関する様々な質問をできるという点では、
社外にウェブ担当を雇ったようなイメージを持つことができます。
代理店のみに提供される機能を活用できる
ベータ版として、正規代理店の広告アカウントでしか使用できない機能があります。
もしベータ版で使いたい機能がある場合は代理店に依頼するしかないでしょう。
社内に運用担当者を雇う必要がない
リスティング広告の運用者は、市場全体にまだまだ少ないのが現状で、
正直、代理店側でも経験者を雇うことに苦労をしています。
苦労して採用できたとしても、いつ辞めてしまうか分からないというリスクもあります。
代理店に依頼することでこういった退職リスクも防ぐことができます。
最新の情報を共有してもらえる
上述した通りですが、
代理店側にしか入らないリスティング広告の最新情報や、
SEO、アフィリエイトといった別の領域の情報を共有してもらえるケースもあります。
他の媒体の提案をもらえる
商材やサービスによっては、
Facebook広告・Twitte広告・LINE広告といった他の広告媒体がマッチするケースも多いです。
代理店側では日頃複数のクライアント様に対して多様な広告媒体を取り扱っているため、
ある程度の目星をつけた媒体の提案をもらえることもあります。
自社運用の場合はこれらの別媒体の情報もキャッチアップする必要があります。
代理店運用のデメリット
続いてデメリットを見ていきましょう。
運用手数料がかかる
上述した通りですが、広告費に対する手数料が必要となります。
社内にノウハウが溜まりづらい
運用状況の報告はもらえても、細かい部分のノウハウはやはり自分で運用した方が溜まります。
成果が出る保証はない
自社運用の場合もそうですが、
代理店という運用のプロに頼んだ場合でも成果が出る保証はありません。
ただ、運用型広告のため、成果が出ない要因を明らかにし、
必要な施策を実施するというPDCAサイクルを回すことで、
成果を良くする動きは取ってもらえます。
対応に時間がかかる場合がある
例えばお正月などに広告文を変更したいと思っても、
一般的な代理店は休暇期間となり即時の反映は難しいです。
これを自社で代表が運用している場合などはなんとか変更もできることでしょう。
結局どちらが良いのか?
自社運用と代理店運用のそれぞれのメリット・デメリットを見てきましたが、
会社の体制や方向性などによってどちらが良いとは一概には言えません。
もし中小零細企業さまで数万円といった低予算からスタートする場合の個人的なオススメとしては、
「代表自身がリスティング広告に取り組んでみる」ことです。
自社のビジネスの一番の理解者は、代表です。
ビジネスの成功をもっとも強く想える人間も、代表です。
費用対効果を良くしたいともっとも強く想える人間も、代表です。
リスティング広告の運用にはこれらの要素が大きく関わってくるため、
代表自身が取り組むことが、成果を出せる可能性が高い言えます。
その後に代理店に依頼する場合でも、
リスティング広告の知識があるため打ち合わせや状況の把握などもスムーズにできます。
ただ、
「どうしても時間がない」
「インターネットのことが全くわからない」という場合には、
ビジネスへの理解を重視している代理店を見つけて、
二人三脚で運用をしていくことが大切です。
※当社では低予算からのテストマーケティングを実施することも可能ですので、
お気軽にご相談ください。
一方で月額30万円以上など、ある程度の広告予算を準備できるようであれば、
最初からスキルを持ち合わせている代理店の方が上手くいく可能性は高いと思います。
さいごに
自社運用 or 代理店運用というのはあくまで運用の手段であり、
リスティング広告の目的は成果を最大化させることです。
・自分で運用してみたけど、思うような成果がでなかった
・代理店に任せてみたけど、思うような成果がでなかった
このように感じた時に、「リスティング広告は成果のでない広告だ」
と思ってしまうと今後に機会損失をしてしまう可能性が高いです。
リスティング広告が上手くいっていない場合は、
・運用スキルが低い
・ターゲティングを間違えている
・ウェブサイトが悪い(カートや決済方法なども含む)
・ビジネスモデルが悪い
など、必ず何かしらの要因があります。
リスティング広告は多くの商材・サービスで成果が出る可能性を秘めた広告手法ですので、
成果を最大化することができる運用者を見つけることができれば自ずと上手くいくことでしょう。
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