2026.09.12

BtoBリスティング広告で成果を出す7つのポイント|広告運用会社が解説

BtoBリスティング広告で成果を出す7つのポイント|広告運用会社が解説

「BtoB商材でリスティング広告を始めたが、思うように問い合わせが増えない」
「BtoCの成功事例を参考に運用しているが、どうも噛み合わない」
——BtoB事業を営む事業者の方から、よくいただくご相談です。

結論から言うと、BtoBのリスティング広告はBtoCと同じ運用では成果が出にくく、「商談から逆算する」設計に切り替えることが成功の分かれ目になります。BtoCと比べると検索する人が少なく、CV1件あたりの価値が大きく、成約までが長い——このBtoB特有の条件に合わせて、キーワードもCV(コンバージョン=広告の成果地点)の設計も変える必要があるためです。

この記事では、BtoBとBtoCの違いを押さえた上で、成果を出すための7つのポイントと、BtoB特有の「検索数の少なさ」との付き合い方を、広告運用会社の立場から解説します。

※本記事は、BtoB企業の広告運用を数多く支援してきた現場の視点から執筆しています。

BtoBリスティング広告はBtoCと何が違うのか

まず前提として、BtoBとBtoCでは広告運用の特徴が根本的に異なります。主な違いを表で整理します。

項目BtoCBtoB
検索数多い少ない
(担当者・決裁者に限られる)
検討期間短い
(即日〜数日も多い)
長い
(数週間〜数ヶ月)
意思決定本人1人複数人
(担当者→上長→決裁者)
CV1件の価値比較的小さい大きい(受注単価が高い)
ゴール購入で完結問い合わせの先の「商談・受注」

この違いが運用のすべてに影響します。検索する人が少ないので広く配信するほど無駄が増え、成果のゴールが受注なので「問い合わせが取れた」だけでは成功と言えません。BtoB広告が構造的に難しい理由と、成果が頭打ちになる仕組みはBtoB広告で商談につながらない原因の記事で詳しく解説しているので、本記事では「ではどう運用するか」の実践に集中します。

前提 CVポイントの設計が成果の大半を決める

7つのポイントに入る前に、最も重要な前提がこれです。CVポイント(何を広告の成果地点にするか)の設計を間違えると、その後の運用をどれだけ頑張っても成果は伸びづらくなります。

BtoBの広告運用でよくあるケースが「問い合わせ」だけをCVにする設計です。しかし問い合わせは見込み顧客にとってハードルの高い行動なので、検討初期の層の大半を取りこぼしてしまいます。検討段階に応じて、複数のCVポイントを用意するのが基本形です。

検討段階見込み顧客の状態適したCVポイント
情報収集課題を調べ始めた資料ダウンロード
チェックリスト
比較検討解決策を比べている事例集
セミナー・ウェビナー
導入検討依頼先を絞っている問い合わせ
無料相談・診断

ハードルの低いCV(資料ダウンロードなど)を設けると、問い合わせ一本のときより多くの接点とデータが得られ、後述の「よくある失敗3つ」で触れる自動入札の精度にも効いてきます。ただし、集めたリードを商談につなげる評価軸とセットで設計しないと「リードは取れるが商談にならない」状態に陥ります。この評価軸の考え方はBtoB広告で商談につながらない原因の記事が主題として扱っているので、あわせて読んでみてください。

CVポイントの設計とセットで必要になるのが「1件にいくらまでかけられるか」の基準づくりです。BtoBの目標単価を計算式から出せる資料をご用意しています。記事の後半でご案内します。

BtoBリスティング広告で成果を出す7つのポイント

① 配信キーワードは「専門語×課題語」で選ぶ

BtoBの検索は数が少ないぶん、1つひとつの検索の「濃さ」が違います。狙うべきは、業務の当事者しか使わない専門語と、課題・行動を表す語の掛け合わせです(例:「勤怠管理 効率化 ツール」「経理 外注 費用」のような形)。逆に、一般語の単体(「マーケティング」など)は検索数こそ多いものの、業務としての検討ではない検索が多く含まれ、広告費が受注につながりにくい典型です。

② 除外設定で「対象外の検索」を早期に弾く

BtoBで特に混ざりやすいのが、求職目的(「◯◯ 求人」)・学習目的(「◯◯ とは 資格」)・個人利用目的の検索です。配信開始後、特に初期は検索語句レポート(実際に広告が表示された検索語の一覧)を週次で確認し、対象外の語句を除外キーワード(配信対象から外す語句)として登録していきます。開始初月にどれだけ丁寧に弾けるかで、その後の広告費の効率が大きく変わります。

③ 配信設定を業務時間に寄せる

BtoB関連の検索行為は業務の一環なので、平日の業務時間帯とPCの比率が高いのが一般的です。曜日・時間帯・デバイスの成果データを確認し、成果の出ている枠に予算を寄せます。ただし、決裁者が通勤中や夜間にスマホで調べるケースもあるため、最初から夜間・休日を全て止めるのではなく、データを見てから絞るのが安全です。

④ 広告文で対象を絞り込む

クリックされてから「対象外だった」と分かるのが、BtoBで最も無駄な広告費の使い方です。クリック単価もBtoCと比較すると高いため、少ないクリック数でも広告費が多く無駄になっているケースがよくあります。「法人向け」「企業様向け」と広告文に明記して、クリックの前に選別するのが定石です。クリック率は下がりますが、それは対象外のクリックが減った結果なので、費用対効果はむしろ改善します。

⑤ LP・フォームをCVポイントに合わせる

資料ダウンロードと問い合わせでは、適したLP(ランディングページ)の作りが異なります。資料ダウンロードなら入力項目を最小限に(会社名・氏名・メールアドレス程度)、問い合わせなら相談内容を書きやすい導線に。広告とCVポイントとLPの三点がそろって初めて成果が出ます。広告だけ改善してもCVが増えないときは、クリック後の側に原因があることが多いです(切り分け方は成果が出ない原因のチェックリストを参照してください)。

⑥ 目標CPAは商談価値から逆算する

BtoBでは「問い合わせ1件いくらまでかけられるか」を感覚で決めるのは危険です。CV1件あたりにかけられる上限額(目標CPA=顧客獲得単価と呼ばれる指標)を、受注1件の粗利 × 商談化率 × 成約率から逆算して計算します。この逆算の考え方はWeb広告の予算の決め方の記事のBtoB節で解説しています。具体的な計算式と数値例は、記事末尾でご案内する資料にまとめています。

⑦ 成果判定は「CV数」だけでなく「商談化」まで見る

同じ資料ダウンロード10件でも、その後の商談につながるキーワードとつながらないキーワードがあります。CV数だけで判断すると「安くリードが取れるが商談にならないキーワード」に予算が寄っていくため、月次ではCVの先(商談化・受注)まで含めてキーワードを評価します。この評価軸の転換と、商談データを媒体の学習に反映する方法(オフラインコンバージョン)はBtoB広告で商談につながらない原因の記事で詳述しています。

検索数の少なさとどう付き合うか

正直にお伝えすると、BtoBの顕在キーワード(すでに課題や解決策を自覚して検索している語)には限りがあり、リスティング広告だけでCV獲得(リード)を無限に増やすことはできません。この限界を前提に置かずにキーワードを広げ続けるのが、BtoB運用で最も多い失敗です。

  • 顕在層がよく調べるキーワードを取りこぼさないことが最優先——数が少ないからこそ、①〜④(キーワード選定・除外設定・配信時間・広告文の絞り込み)の精度で「取りこぼさない」ことに集中する
  • 無理な拡張は獲得単価の悪化を招く——関連の薄い一般語へ広げると、クリックは増えても商談は増えない。拡張するなら、ハードルの低いCVポイント(資料ダウンロード等)とセットで検討段階の浅い層を受け止める設計にする
  • 潜在層(まだ検索していない見込み顧客)は別の施策の守備範囲——SNS広告・ディスプレイ広告・SEO記事などで接点を作るのが本筋。リスティング広告は「検索してくれた人を確実に受け止める」役割と割り切る
💡 補足
「もっと件数を増やせないか」という要望には、キーワード拡張よりも先に「CVポイントの追加」や「他施策との組み合わせ」を検討するのが、BtoBでは現実的な打ち手になります。

よくある失敗3つ

クリックは多いのに商談が生まれない

症状としては「クリック数は順調なのにCVが動かない」形で現れます。原因の多くは、検索数の多い一般語を中心にした構成と、絞り込みのない広告文です(前述の①②④の裏返し)。BtoBは「広く集めて絞る」ではなく「最初から絞って確実に取る」が基本です。

CVポイントが問い合わせ一本足になっている

症状は「クリックもあるのにCVが月数件で止まる」。前述のCVポイント設計の節のとおり、検討初期の受け皿がないことが原因です。ハードルの低いCVポイントを併設しましょう。

少ないCVデータのまま自動入札に任せてしまう

自動入札(媒体が入札額を自動で調整する仕組み)は、CVデータが少ないと精度が上がりません。月に数件しかCVがない状態で機械学習にお任せすると、学習が安定せず成果が振れ続けます。ハードルの低いCVでデータ量を確保する、手動での調整を併用するなど、データ量に応じた運用方法を選ぶことが必要です。

BtoBリスティング広告に関するよくある質問

月いくらから始められますか?

広告媒体の仕組み上は数千円〜数万円からでも配信できますが、検証に必要なデータが集まる予算を確保するのがおすすめです。目安は「目標CPA×数件分」の広告費が毎月確保できること。目標CPAの計算方法は予算の決め方の記事を参照してください。

効果はいつから出ますか?

配信自体は開始当日から始まりますが、検索語句の精査や媒体の学習が進んで安定するまで、一般に1〜3ヶ月程度を見込んでください。BtoBは検討期間が長いため、初月のCVがそのまま商談・受注に見えてくるのはさらに先になります。短期のCV数だけで撤退判断をしないことが重要です。

自社運用と運用代行(外注)、どちらがよいですか?

社内に運用の知見と時間があるなら自社運用でも成立します。判断基準はWeb広告は外注すべきかの記事で整理しているので、そちらを参考にしてください。

CVが少なすぎて改善の判断ができません

まず、ハードルの低いCVポイント(資料ダウンロードなど)を追加してデータ量を増やすのが先決です。それでも月数件に満たない場合は、CVの一歩手前の行動(料金ページの閲覧など)を補助指標にして判断材料を増やす方法があります。

総括|「商談から逆算する」が全ポイントの根幹

  • BtoBは検索する人が少なく、1件が大きく、ゴールが受注。BtoCと同じ運用では噛み合わない
  • 最重要はCVポイントの設計。検討段階に応じた複数の受け皿を用意する
  • 運用の実務は「専門語×課題語」のキーワード・除外設定・業務時間への配信・絞り込む広告文・CVに合わせたLP
  • 評価は目標CPAの逆算と「商談化まで見る」判定で行う
  • 顕在キーワードには限りがある。取り切ることに集中し、潜在層は別施策と役割分担する

7つのポイントはすべて「商談から逆算する」という1つの考え方につながっています。設定のテクニックより先に、この考え方を持てるかどうかが、BtoBリスティング広告の成否を分けます。

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株式会社フェルク 取締役 石崎尊之 この記事を書いた人|石崎 尊之 取締役

株式会社フェルクに新卒入社後、クライアント支援に従事。現在は取締役としてデジタルマーケティング事業を統括し、上流の事業戦略・広告戦略の立案から運用改善、サイト分析、クリエイティブ改善まで幅広く支援している。事業責任者として培ったマーケティング戦略・組織運営の視点を活かし、クライアントの集客成果と事業成長に貢献。ウェブ広告マネージャー公式テキストの執筆にも参画。実践に基づいた再現性の高いマーケティング支援に取り組んでいる。
保有資格:WACA公認上級ウェブ解析士、薬機法管理者、Google認定資格。

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